一億の視点、一瞬の真実。
土井 廣三(Hiromi Doi) フォトグラファー / 有限会社さくら工房 代表
Googleマップにおけるパノラマ写真の累計閲覧数は、間もなく1億回に到達しようとしている。 360度写真という「空間の記録」において、世界中の膨大な視線に選ばれ続けてきたことが、私のプロとしての歩みを物語る唯一の証明だ。
仕事と趣味に、境界線はない。
多くの人は、私の活動を「仕事」と「鉄道趣味」に分けたがる。しかし、私にとってその境界線は存在しない。 クライアントの店舗をドラマチックに描き出す360度撮影も、氷点下の線路脇で日の出を待つ鉄道写真も、シャッターを切る瞬間に込める熱量は全く同じだ。
「プロは、どのような場面であっても妥協を許さない。」
それが、私が自分自身に課している唯一のルールだ。
10年選手の機材と、手持ちの矜持
私の手には、10年以上連れ添ったCanon EOS 5D Mark IIIがある。 最新の機材が提供する利便性よりも、長年の対話で培った「手の延長」としての感覚を信頼している。
三脚で構図を固定することもしない。動く相手に対しては、自らの機動力も大事。 5分で変わる光の位置、列車の速度、そして自分の高揚感。そのすべてを身体で受け止め、「手持ち」で切り取る。時に、高揚感で生じる構図のズレさえも、次なる高みへ向かうための訓練として受け入れる。
表現の原点
1億回見られる写真を撮る技術も、1月1日の初日の出を捉える情熱も、根底にあるのは「光をどう読み、どう刻むか」という一点に集約される。
仕事でも、遊びでも、シャッターを切る瞬間に一切の妥協はない。 そのストイックな積み重ねが、今日も私を新しい現場へと向かわせる。